1.現在完了形とは
(1) 現在完了形とは
ドイツ語は、英語と異なり、会話では過去を表すのに現在完了形が用いられます。したがって大変重要な文法事項です。
英語では現在完了形は過去を表すことばとともに用いることはできませんが、ドイツ語にはこのような制限はありません。
次の文を見てください。gestern は「昨日」という過去を示すことばですが、現在完了形の文で用いられています。
Was haben Sie gestern gemacht? (昨日何をしましたか)
Ich bin ins Kino gegangen. (映画を観に行きました)
(2) 現在完了形は枠構造
ドイツ語には現在完了形を作る助動詞が二つあります。sein と haben です。
また過去分詞は文末へおかれます。過去分詞の位置は間違えやすい点ですので、しっかり覚えてください。
つまり、助動詞と過去分詞で枠を作り、その中に他の文成分をはさみ込むわけです。現在完了形は枠構造を作ります。
Ich | habe | im Supermarkt | eingekauft |
Er | ist | ins Kino | gegangen |
sein もしくは habenの現在人称変化 | 過去分詞 |
少し分かりにくいですね。
不定詞句から完了形を説明してみましょう。
「スーパーで買い物をする」という不定形は im Supermarkt einkaufen です。
これを完了の不定形にすると、 im Supermarkt eingekauft haben「スーパーで買い物をした」になります。
「私」を主語にした文にしてみましょう。
haben は人称変化し、定形の位置におかれ、過去分詞はそのまま文末に残ります。
Ich habe im Supermarkt eingekauft.
ins Kino gehen も次のようになります。
不定形: ins Kino gehen
完了の不定形:ins Kino gegangen sein
現在完了形の文:Ich bin ins Kino gegangen.
(3) sein か haben か
sein と haben のどちらが助動詞として使われるかは、その文で使われる動詞によって決定されます。
sein と haben のうちどちらを使うかはあらかじめ決まっており、辞書に書かれています。
たとえば、 machen を辞書でひけば、辞書によって異なりますが、発音記号の次に[他][h]とか(完了haben)という記載があるはずです。
[他]は他動詞であることを示し、[h]は完了形を作るときに haben を助動詞として使うことを意味しているのです。
次に、 gehen を見てみましょう。発音記号の次に今度は[自][s]とか(完了sein)という記載があるはずです。
[自]は自動詞であることを表し、[s]は完了形を作るときに sein を助動詞として使うことを意味しているのです。
二つのうちどちらを使うのかを見分ける簡単な目安のようなものはないのでしょうか。
次のように考えてください。数からいえば、 haben と完了形を作る動詞の方が sein と完了形を作る動詞よりもはるかに多いのです。
4格目的語をとる動詞、つまり他動詞はhabenと完了形を作ります。
まず、 sein と完了形を作る動詞を覚え、それ以外は haben と完了形を作ると考えましょう。
(4) sein と完了形を作る動詞
sein と完了形を作る動詞は3種類のグループに分けられます。
a) 場所の移動を表す動詞
gehen(行く), kommen(来る), fahren(<乗り物で>行く), fliegen(<飛行機で>行く),steigen(上る), einsteigen(乗車する), umsteigen(乗り換える)
b) 状態の変化を表す動詞
werden(.....になる), sterben(死ぬ), aufstehen(起きる), einschlafen(眠り込む), wachsen(成長する)
c) その他
sein, bleiben, begegnen(出会う), gelingen(成功する), geschehen(起こる), passieren (生じる)