2.複数形/名詞の格
(1) 複数形
名詞には単数形と複数形とがあります。英語には複数形を作るルールがありますが、ドイツ語にはありませんので、辞書を引くことが複数形を知る早道です。
ここで辞書の見方と名詞の覚え方を学びましょう。
名詞については意味ばかりではなく、名詞の性 、単数形2格、複数形についても知る必要があります。
名詞は、辞書によって異なりますが、次のように書かれています。
1)性
男性名詞:[男]、あるいは「m」(Maskulinumの略)という記号があるものは男性名詞です
女性名詞:[女]、あるいは「f」(Femininumの略)という記号があるものは女性名詞です
中性名詞:[中]、あるいは「n」(Neutrumの略)という記号があるものは中性名詞です
2)単数2格
「-s」:見出し語(単数形1格)に「-s」をつけたものが単数形2格になります
「-es」: 見出し語(単数形1格)に「-es」をつけたものが単数形2格になります
「-[e]s」:見出し語(単数形1格)に「-s」か「-es」をつけたものが単数形2格になります
「-」: 見出し語が単数形2格になります(女性名詞は単数形では変化しません。この欄に何も書かれていない場合があります)
3)複数1格
「-」:単数形と複数形が同形であることを示します。
「-e」,「-er」,「 -en」, 「-n」, 「-s」:単数形にそれぞれの語尾をつけたものが複数形になります
*ウムラウトさせて複数形をつくる名詞はその形が書かれています
複数形になると、それに付ける冠詞や、それを指す人称代名詞の選択において男性名詞、女性名詞、中性名詞という区別はなくなります。
単数形から複数形を作ることを考えた場合、以下のことを参考にしてください。
a) 無語尾型:単複同形で、ウムラウトする場合もあります。
der Onkel(叔父)-> die Onkel
die Mutter(母) -> die Mütter
b) -e型:複数語尾-eがつき、ウムラウトする場合があります。
das Jahr(1年) -> die Jahre
der Arzt(医師) -> die Ärzte
c) -er型:複数語尾-erがつき、常にウムラウトを起こします。
das Haus(家) -> die Häuser
das Volk(民族) -> die Völker
d) [e]n型:複数語尾-enがつきますが、名詞が-eで終わっている場合は-nのみがつきます。ウムラウトはしません。
die Frau(女性) -> die Frauen
die Katze(猫) -> die Katzen
e) s型(外来語):複数語尾-sがつきます。
das Hotel(ホテル) -> die Hotels
das Auto(自動車) -> die Autos
Tipps & Tricks
ドイツ語の名詞を覚える場合には、必ず定冠詞をつけ(こうすると自然に性が覚えられます)、名詞の意味ばかりではなく、複数形も一緒に覚えましょう。たとえば次のようにです。
das Auto, Autos, 自動車
大変なように見えますが、これがドイツ語をマスターするコツです。
(2) 名詞の格
次に名詞の格について説明しましょう。
名詞は文の中で主語になったり、目的語になったりするなど、さまざまな役割を果たします。
名詞が文の中でどのような役割を果たしているかを示す方法は言語によってそれぞれ異なります。
英語は
語順 でどの名詞が主語で、どれが動詞の目的語であるかを示し、日本語は名詞に「は」、「を」、「に」といった格助詞をつけて示します。
ドイツ語はといいますと、格というものを変化させて、名詞の働きを表します。
格は1格から4格まであります。
1格:Der Hund ist klug. 「その犬は賢い」。
「der Hund」は 1格で、1格は主に主語、述語になります。日本語の「は、が」にあたります。
2格:Die Hütte des Hundes ist groß. 「その犬の小屋は大きい」。
「des Hundes」は2格で、2格は所属関係を示します。日本語の「の」にあたります。2格は後ろから前の名詞にかかることに注意しましょう。
3格:Ich schenke dem Hund einen Knochen. 「ぼくはその犬に骨をプレゼントする」。
「dem Hund」は3格で、3格は間接目的語になります。だいたい日本語の「に」にあたります。
4格:Ich liebe den Hund. 「ぼくはその犬を愛する」。
「den Hund」は4格で、4格は直接目的語になります。日本語の「を」にあたります。