1-1.動詞の人称変化
(1) ドイツ語の動詞
最初に次の二つの文を見てください。
Ich wohne in Fukuoka.(私は福岡に住んでいる)
Er wohnt in Sendai. (彼は仙台に住んでいる)
wohne や wohnt は「住む」という意味の動詞ですが、主語が変わることで動詞の語尾が変わることが分かりますね。
このように、ドイツ語の動詞は主語の人称、単数か複数かなどによって、動詞の語尾が変化します。
これが動詞の人称変化といわれるものです。
(2) 不定形と定形
不定形は動詞の原形で、辞書で見出し語として記載されているものです。
不定形はふつう -enで終わり、この-enを取った残りが、動詞の本体、動詞の語幹と呼ばれるもので、動詞の人称変化とは、語幹に人称語尾をつけたものなのです。
ですので、人称変化は語幹 + 人称語尾と覚えてください。
人称と人称語尾を確認しましょう。
人称 | ich | du | er/sie/es | wir | ihr | sie | Sie |
---|---|---|---|---|---|---|---|
人称語尾 | -e | -st | -t | -en | -t | -en | -en |
(3) ドイツ語の人称
人称変化の説明に入る前に、ドイツ語の人称についてお話しします。
1人称は話し手であり、2人称は聞き手、3人称はそれ以外を表し、それぞれ単数と複数があるということで、こうした点では英語とドイツ語とでは違いはありません。
英語との大きな違いは2人称と3人称にあります。
ドイツ語は2人称を二つ持ち、親しい人にはdu、その複数形である ihr を用いて話しかけ、それ以外の人には Sie を用います。
ドイツ語には単数3人称が3種類あります。これはドイツ語の名詞が男性名詞、女性名詞、中性名詞という三つの文法上の性を持つからです。
er は男性名詞に対応し、sie は女性名詞に対応し、esは中性名詞に対応します。
人称 | 単数 | 複数 | ||
---|---|---|---|---|
1人称 | ich | 私は /が | wir | 我々は /が |
2人称(親称) | du | 君は /が | ihr | 君たちは /が |
2人称(敬称) | Sie | あなたは /が | Sie | あなたたちは /が |
3人称 | er | 彼は /が | sie | 彼らが /は |
sie | 彼女は /が | |||
es | それは /が |
(4) 動詞の人称変化
実際にどのように人称変化するのか、見てみましょう。