プラグインが入っていないのでmp3が再生できません。

言語選択

3.5 原稿の作成

内容の整理ができたら、原稿を書きましょう。すでにレポートや論文のような書いた原稿がある場合は、そこから発表用の原稿を作ることになるでしょう。アウトラインで内容を考えていた場合は、そこから発表用の原稿となる文章を書きます。

アウトラインと原稿の関係

実はアウトラインと原稿の関係は一方通行ではありません。アウトラインで内容の構成を考えた後に文章化するという手順を勧める教科書も多いのですが、文章を書くプロセスは個人差もあります。アウトラインではうまく思考がまとまらなかったり、実際に文章にしてみないと考えが出てこない人も多いでしょう。その場合は、まず文章を書き始めます。とにかく何か書いてみます。今度はそれをアウトラインにしてみます。アウトラインにする過程で構成上の問題点が浮かんでくるかもしれません。長い文章では、構成がわかりにくい場合でも、アウトラインにすると全体が把握できることによって順序を変更したりも容易にできるでしょう。

このような作業は紙と鉛筆で行う場合は手間がかかり、一度書いてしまった文章の構成を大幅に変更することに抵抗があるかもしれません。コンピュータを使って書くと、大幅な変更もコピー・ペーストで簡単にできますので、大いに利用しましょう。さらに、ワープロソフトにはアウトラインを表示して編集する機能があります。アウトラインとその各見出しにぶら下がる本文を適切に設定しておくと、アウトライン表示で見出しを移動すれば、その下位項目の見出しや本文も一緒に移動します。そうするとアウトラインで構成を変更して本文を変更するという作業が簡単にできます。

序論と結論は最後に書く

話の順番は、序論→本論→結論ですが、書く順番は本論が先です。本論の内容を導入するのにふさわしい序論を書く、と考えましょう。結論部分も本論ができてから、その要約や締めくくりの文句を考えます。

外国語への翻訳の問題

原稿準備について、外国語で書く際の翻訳の問題について一言。日本語(母語)で先に文章を書いてから外国語に翻訳しようとする人も多いでしょう。アウトラインを日本語で書いて構成などを考えるのは構いませんが、本文の原稿を先に日本語で書いてしまうのはやめましょう。日本語から翻訳すると、日本語の文法に引っ張られて直訳調の不自然な外国語になったり、ひどい場合は意味不明になります。また、日本語で複雑な内容の文章を書いてしまうと、それを的確に翻訳する外国語能力がないかもしれません。たとえうまく翻訳できたとしても、口頭発表で難しい単語で苦労したり、聴衆も難解な表現に困ったりするかもしれません。

それよりは、自分の能力の範囲で比較的やさしい表現を積み重ねて初めから外国語で書いてみましょう。また、資料調査の際に、発表言語で書かれた資料を集めておけば、そこから必要な単語や表現を学ぶことができます。また、引用文は翻訳せずにそのまま用いることができます。ここで注意、引用は大いに結構ですが、盗作は厳禁です。Webからコピー・ペーストしてもかまいませんが、必ず引用符の中に入れましょう。英作文は「英借文」だと言ったりしますが、借りてくるのは文章全部ではなくて表現(短めの句や文の枠組み)です。さらにまた、翻訳ソフトを利用したいなと思うかもしれませんが、日本語→英語などの翻訳は、わけのわからないような訳文が出てきます。翻訳ソフトの訳文を修正する能力があれば、はじめから外国語で書き始めることができるでしょう。

推敲と校正

草稿ができたらその内容を再検討し、内容が固まったら表現や文法の校正をしましょう。ぜひ、草稿は友人などに読んでもらいコメントをもらうといいでしょう。自分で考えて書いたものは、自分にとってはわかりやすく書けているでしょう。内容についても概ね満足できるかもしれません。文法の間違いなども気づかずに読みすごしてしまいがちです。他の人の新鮮な目で読んでもらうと、良く書けているところ、わかりにくいところ、単語や文法の間違いも見つかりやすいものです。ここは面白いポイントだけれども具体例があるといいな。ここの例は3 つもあるけれども2 つでいいんじゃないかな。この統計データは説得力がありそうだけど、どこで見つけたの。ここの話の流れは順序を入れ替えた方がわかりやすいんじゃないかな。こんなことをお互いに原稿を交換してコメントしたり話し合ったりすると、よりよい原稿ができるでしょう。どうしても他の人に読んでもらえない場合は、原稿書きあげてから少し時間をおいて、改めて読み返すと、少しは新鮮な目で点検することができます。また、スペルチェックなどはワープロソフトの機能も利用しましょう。但し、ソフトに頼り切ることはできません。たとえば英語で、siteと言いたいところでcite と書いてあってもスペルチェックでは見過ごされます。二つとも英語の単語に存在しますから。