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言語選択

3.4 アウトラインの作成

言いたいことを整理したり話の流れを検討するために、アウトラインを書くといいでしょう。単純な話の構成では、順に1、2、3、と話したい項目を並べるだけで済むかもしれません。複雑な内容を検討する場合は、階層状のアウトラインを作ります。

番号の付け方

階層状の構造がわかるように、違うレベルの項目には違う種類の番号や記号を付けるとともに、字下げをして同じ項目は同じ位置に頭がそろうようにします。よく用いられる方法の一つは、数字とアルファベットを交互に使い、数字もローマ数字とアラビア数字を使い分け、アルファベットも大文字と小文字を使います。I.A.1.a.iというように数字とアルファベットを交互に使います。この教科書の第1 部をアウトラインにして、第1 章の内容を詳しく示すと次のようになります。

I. トピックの選択

 A. プレゼンテーションとは何か

 B. プレゼンテーションの目的

  1. 情報提供

  2. 説得

  3. 感動

 C. プレゼンテーションの場と聴衆(本文では詳述していません)

  1. 場

   a. 社会的・文化的な場面

   b. 空間的・物理的な場所

    i. 広さ

    ii. 時間帯

    iii. 温度湿度

    iv. 設備

  2. 聴衆

   a. 年齢

   b. 性別

   c. 学歴

   d. 出身地

   e. 価値観

 D. トピックを探す

 E. トピックの絞り込み

 F. 実際にやってみよう

II. 資料調査

III. 原稿作成

IV. 発表

1 種類の数字だけで表す方法もあります。同じ内容を次のように表すこともできます。

1. トピックの選択

 1.1. プレゼンテーションとは何か

 1.2. プレゼンテーションの目的

  1.2.1. 情報提供

  1.2.2. 説得

  1.2.3. 感動

 1.3. プレゼンテーションの場と聴衆(本文では詳述していません)

  1.3.1. 場

   1.3.1.1. 社会的・文化的な場面

   1.3.1.2. 空間的・物理的な場所

    1.3.1.2.1. 広さ

    1.3.1.2.2. 時間帯

    1.3.1.2.3. 温度湿度

    1.3.1.2.4. 設備

  1.3.2. 聴衆

   1.3.2.1. 年齢

   1.3.2.2. 性別

   1.3.2.3. 学歴

   1.3.2.4. 出身地

   1.3.2.5. 価値観

 1.4. トピックを探す

 1.5. トピックの絞り込み

 1.6. 実際にやってみよう

2. 資料調査

3. 原稿作成

4. 発表

見出しの付け方

上の例では見出しは短い語句だけになっています。これは、トピック・アウトラインとも呼ばれ、分類を確認するような場合に有効です。理由や因果関係を説明する場合には、項目間の論理関係がわかるように、各項目をトピックだけではなく命題(文)の形にした論理アウトラインと呼ばれる方法が推奨されます。温暖化対策について説得するプレゼンテーションの内容をアウトラインにしてみると、次のようになります。

I. 温暖化は自然災害を引き起こす

 A. 温暖化は台風を増加させる

 B. 温暖化は雪崩を引き起こす

 C. 温暖化は海面の上昇を引き起こす

II. 温暖化が引き起こす災害は深刻である

 A. 台風の被害は深刻である

  1. 強風は家屋や作物を破壊する

  2. 豪雨は家屋や作物を破壊する

 B. 雪崩の被害は深刻である

 C. 海面上昇の被害は深刻である

  1. いくつかの島国は水没する

  2. 津波発生時の被害を増大させる

III. 温暖化の主要原因は化石燃料である

 A. 温暖化は温室効果ガスによって引き起こされる

 B. 温室効果ガスの主要部分はCO2 である

 C. 化石燃料の使用はCO2 を排出する

IV. 住宅用発電の変更が有効な解決策である

 A. 太陽光発電は有効である

  1. 太陽光発電はCO2 を排出しない

  2. 太陽光発電パネルの技術は確立している

  3. 太陽光発電は経済的である

 B. 風力発電は有効である

  1. 風力発電はCO2 を排出しない

  2. 風力発電装置の技術は確立している

  3. 風力発電は経済的である

V. 住宅用発電の変更によって地球温暖化対策に貢献できる

 A. 住宅用発電の変更により大幅にCO2 の排出を削減できる

 B. このCO2 の削減によって温室効果が減少する

 C. 地球温暖化への貢献が限定的でも、対策を取る道義的責任がある

このアウトラインを使って構成を再考することができます。最初の部分を見てみましょう。

I. 温暖化は自然災害を引き起こす

 A. 温暖化は台風を増加させる

 B. 温暖化は雪崩を引き起こす

 C. 温暖化は海面の上昇を引き起こす

II. 温暖化が引き起こす災害は深刻である

 A. 台風の被害は深刻である

  1. 強風は家屋や作物を破壊する

  2. 豪雨は家屋や作物を破壊する

 B. 雪崩の被害は深刻である

 C. 海面上昇の被害は深刻である

  1. いくつかの島国は水没する

  2. 津波発生時の被害を増大させる

ここでは、温暖化が自然災害を引き起こすしくみをまず台風、雪崩、海面上昇に分けて説明し、次いでそれぞれの災害の深刻さを説明しています。これを変更して、台風、雪崩、海面上昇に分けて、それぞれのしくみと深刻さを説明する方法もあります。たとえば次のようになります。

I. 温暖化は深刻な自然災害を引き起こす

 A. 温暖化は深刻な台風被害を増加させる

  1. 温暖化は海水面温度の上昇により台風を増加させる

  2. 台風は暴風雨によって家屋や作物を破壊する

 B. 温暖化は深刻な雪崩を引き起こす

  1. 温暖化によって万年雪が溶け始める

  2. 雪崩はスキー客やふもとの家屋を襲う

 C. 温暖化は深刻な海面上昇を引き起こす

  1. 全地球の平均気温が◎◎度上昇すると海面が◇◇度上昇する

  2. 海面が上昇すると島国が水没し津波被害が増大する

どちらの順序が良いかは、説明する際の順序の分かりやすさや、示す資料の内容にもよるでしょう。たとえば、入手した資料の中に、温暖化によって台風が増え被害が増大するという予想を一連の文章で述べているものがあれば、台風発生のしくみとその被害をまとめて説明するほうがよいでしょう。

上の例からもわかるように、アウトラインは見出しだけで終わらせずに、そこで紹介する資料なども特定しておくといいでしょう。そうすると、次の原稿作成の段階につながっていきます。