プラグインが入っていないのでmp3が再生できません。

言語選択

2.4 独自調査による資料

自分の専門分野において学会発表をするような場合は、発表者独自のデータが重視されるでしょう。外国語の授業でプレゼンテーションの練習をするような場合は、そのような独創性は求められていません。それでも、ちょっと身の回りでミニ調査をしてみることは役に立つ経験でしょうし、プレゼンテーションをより魅力的にする資料が得られるかもしれません。では、どのような資料を入手する可能性があるでしょうか。

観察と現物収集

まず、身の回りをよく観察し、ノートに書き留めたり、必要なら写真に撮ったりすることで資料を得ることができます。場合によっては、現物を収集することもできるでしょう。電気の無駄使いがないか、キャンパスで調査するとすれば、まず授業の休み時間に教室を回って消灯されているかを確認し、電気がつけっぱなしになっている教室を数えることもできます。ゴミ捨てのマナーを訴えるプレゼンテーションをするための資料として、放課後の教室に残されたゴミを拾ってビニール袋に入れて保管し、こんなものがありましたよ、とプレゼンテーションの時に見せることもできます。安全衛生上不安があるかもしれませんので、インパクトは減じますが写真を撮ってPowerPoint などに組み込むほうがいいかもしれません。

インタビュー

友人や家族にインタビューをして、身近な人の意見を入手することもできます。信頼性の高い資料とはならないかもしれませんが、プレゼンテーションの中で例証としたり、聴衆が親近感を持てる人が何をしているか、何を考えているか知り、発表内容に反映させることができます。

専門の研究者を訪問して質問することも広い意味でインタビューでしょう。また関係機関・団体などを訪問することもできます。韓国の学校制度について紹介しようとするときに、文献資料だけではどうしてもわからないことがあった時、韓国の教育行政などを専門とする先生の研究室や、韓国領事館に質問に行くことも可能でしょう。もちろん、飛び込み訪問ではなく、メールや電話で事前連絡を取りましょう。問題によっては、メールや電話で回答が得られるかもしれません。また、訪問できた時は、当初予定していた質問だけではなく、関連する話や文献資料の情報が得られるかもしれません。また、韓国領事館には学校制度を紹介したパンフレットなどがあるかもしれません。

アンケート

個別事例の観察や個人の話だけではなく、少しそういったものを数量化しようと思えば、アンケート用紙(質問紙)を作り、データ収集をすることもできます。本格的な質問紙調査法は研究方法論の解説書などに譲るとして、ここでは簡単な調査を考えましょう。考慮する点は、次のようなものがあるでしょう。

•記名・無記名(その他、回答者の属性情報(男女、年齢、出身地、等々)を尋ねるか)

•設問は、聞きたいことを的確に聞いているか

•回答は自由記述か、選択肢か、評点か(強く賛成から強く反対までを5 段階など)

•人数は何人ぐらい集めるのか(事例を集めるのか、統計処理するのかでも異なります)

•配布回収方法はどうするか(回答時間などとも関係します)

• 集めた回答をどのように処理して発表に組み込むのか(回答例の紹介、頻度や平均値の表やグラフを作るなど)

実験

本格的な実験はその道の専門家に委ねるとして、創意工夫で簡単な「実験」をすることは可能でしょう。たとえば、教室のゴミ捨て問題を扱うために次のような比較実験はどうでしょうか。教室にゴミ箱がある場合とない場合で、教室の床に捨てられるゴミの量は変わるか。同じゴミ箱を教室の中に置いた場合と教室の入り口の外に置いた場合ではどうか。同じ大きさのゴミ箱で蓋がある場合とない場合で異なるか。等々が考えられます。

実験によって得られた結果とその考察を資料として用いるには、実験方法、データ記録の方法、得られた生データの記述、その分析・解釈を記録保存しておくことが大切です。実際の発表では、簡潔でわかりやすい形で報告します。