3.話法の助動詞の動詞的用法/sollen
(1) 話法の助動詞の動詞的用法
次のような場合には、話法の助動詞は不定形を伴わずに単独で用いられます。
a) 動詞がなくても,前後関係から意味が明白な場合
Darf man hier parken? -- Nein, das darf man nicht. (ここに車を停めてもいいですか -- いいえ、ここに車を停めてはいけません)
b) 方向を表すことばとともに使われる場合
Ich will in die Stadt. (私は町へ行きたい)
Er muss nach Hause. (彼は家へ帰らなくてはならない)
c) 動詞として使われる場合
Kannst du Deutsch? (ドイツ語ができますか)
Was möchten Sie? (何を差し上げましょうか)
(2) sollen の用法
sollen はなかなか分かりにくい助動詞です。
しかし、他の助動詞の用法と照らし合わせると、分かりやすくなります。
a) sollen と wollen
sollen も wollen も意思を示すことばです。wollen は主語の意思を表します。これに対して sollen は主語以外のものの意思を表します。
次の二つの文を見てください。
1) Ich will Arzt werden. (私は医者になりたい)
2) Ich soll Arzt werden. (私は医者になれといわれている)
1)では wollen が使われているので、1)の文は「私」が「医者になること」を望んでいることを意味しています。
一方、2)の文では sollen が使われているので、「医者になること」を望んでいるのは「私」ではなく、例えば両親とか、学校の先生であること、つまり、主語以外の誰かが「私が医者になる」ことを望んでいることを表しているのです。
b) sollen と müssen
どちらにも「.....しなくてはいけない」と言う意味があります。それではどこに違いがあるのでしょうか。
sollen と müssen との違いのポイントは「......しなくてはいけない」と<誰>が判断しているかという点にあります。
次の二つの文を見てください。
1) Ich muss jetzt ins Bett gehen. (私はもう寝なければならない)
2) Die Kinder sollen jetzt ins Bett gehen. (子供たちはもう寝なければならない)
1)の文で「寝なければならない」と判断しているのは主語である ich です。
しかし、
2)の文で「寝なければならない」と判断しているのは主語である Kinder ではなく、たとえば両親であって、 Kinder は自分たちの意に反して「寝なければならない」のです。